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保存困難な第一大臼歯、抜歯時期はHellman IIIA〜IIIB?🦷

保存困難な第一大臼歯を抜歯するとき、日本でなじみのあるHellmanの歯齢ではIIIA〜IIIBごろを判断の入口にし、第二大臼歯の歯根形成を画像で個別に確認します。

【今回の臨床判断】


まず上顎と下顎を分けて考えます。自然な空隙閉鎖は上顎で起こりやすく、下顎では年齢、第三大臼歯の有無、第二大臼歯の傾斜も合わせて確認します。日本の臨床ではHellman IIIA(第一大臼歯・前歯萌出完了期)〜IIIB(側方歯群交換期)ごろを目安にしつつ、パノラマX線写真で第二大臼歯の分岐部・歯根形成も評価します。


【Hellmanの歯齢でどう読む?】


Hellmanの歯齢は歯の萌出と咬合発育を示します。IIIAは第一大臼歯と前歯の萌出完了期、IIIBは側方歯群交換期です。


一方、原著で使われた分類は第二大臼歯そのものの歯冠・歯根形成を評価します。そのため、Hellman IIIA〜IIIBと原著の発育段階は完全な1対1対応ではありません。Hellmanの歯齢だけで置き換えず、パノラマX線写真で第二大臼歯の形成状態を併せて確認します。


【どんな研究?】


矯正治療を併用せずに、保存困難な第一大臼歯を抜歯した後の自然な空隙閉鎖を評価したシステマティックレビュー/メタ解析です。19研究、950人、2,101本の第一大臼歯が対象となりました。


【結果】


上顎と下顎で差があった


・上顎の自然閉鎖率:86.3%

・下顎の自然閉鎖率:51.6%

・上顎のほうが自然閉鎖しやすい:オッズ比5.23(95%信頼区間3.24–8.45)


上顎では比較的高い確率で自然閉鎖が期待される一方、下顎では約半数にとどまりました。抜歯後の経過を上顎と下顎で同じように説明しないことが重要です。


下顎で閉鎖しやすさと関連した条件


・10歳未満での抜歯

・第三大臼歯が存在する

・第二大臼歯が近心傾斜している


これらは自然閉鎖と関連しましたが、単独の条件で結果を保証するものではありません。術前に複数の条件を合わせて評価します。


分岐部形成開始だけが最良とは限らなかった


第二大臼歯の分岐部形成開始という一点だけが、より早い・遅い歯根形成段階より一貫して優れていたわけではありません。一方、原著で評価された歯根形成の比較的早い期間をまとめると、より遅い発育段階より良好な結果を示しました。


【臨床でどう考える?】


1.まず上顎か下顎かを分ける

上顎は自然閉鎖を期待しやすい一方、下顎は閉鎖不全の可能性を前提に説明します。


2.Hellman IIIA〜IIIBごろを入口にする

暦年齢だけでなく、第一大臼歯・前歯の萌出完了から側方歯群交換期にあるかを確認します。


3.画像で第二大臼歯を確認する

分岐部・歯根形成、近心傾斜、第三大臼歯の有無をパノラマX線写真で評価します。


4.閉鎖しなかった場合の対応まで説明する

自然閉鎖を保証せず、空隙残存、第二大臼歯の傾斜、咬合への影響、追加の矯正治療が必要になる可能性を共有します。


【この研究を読む際の注意】


対象研究間にはばらつきがあり、上顎と下顎、発育段階、評価方法も均一ではありません。Hellmanの歯齢と原著の歯根形成分類は評価対象が異なるため、IIIA〜IIIBだけを抜歯の決定基準にせず、臨床所見と画像所見を合わせて判断する必要があります。

【出典】


Peyrichon L, Boyer E, Fong SB, Sixou J-L, Nordeen K, Patel S, Meuric V. Timing of extraction of compromised first permanent molars and spontaneous space closure without adjunctive orthodontic treatment: a systematic review and meta-analysis. Eur Arch Paediatr Dent. 2026 Oct 5. Online ahead of print. doi:10.1007/s40368-026-01294-9. PMID:42832156.


https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42832156/


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