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根管治療をした歯と、抜歯後に入れたインプラント。
スウェーデンの全国登録データを使った研究では、9年時点の生存率は根管治療後の歯が83.4%、インプラントが97.9%でした。
ただし、インプラントの平均累積費用は根管治療の約2.1倍です。さらに、下顎前歯部では根管治療の方が生存期間と機能期間が長く、費用も低い結果でした。
つまり、生存率だけを見て「抜歯してインプラント」と決められるほど単純ではありません。
【重要な数字・結果】
・傾向スコアで条件を近づけた解析対象 根管治療10,654人/インプラント5,327人
・9年生存率 根管治療83.4%/インプラント97.9%
・7年までの平均機能期間 根管治療5.8年/インプラント6.6年
・平均累積費用 根管治療1,243米ドル/インプラント2,667米ドル
・機能期間を1年延ばすための追加費用 全体で1,874米ドル
では、保存できる可能性がある歯で、何を基準に根管治療と抜歯・インプラントを選べばよいのでしょうか?
✅ まず「治せる歯か」を、生存率とは別に評価する
今回の研究は、すでに根管治療を受けた人と、抜歯後にインプラント治療を受けた人の経過を比較しています。
インプラントの生存率が高かったことは、保存可能な歯を先に抜歯すべきだと示す結果ではありません。残存歯質、破折、歯周組織、再治療の可否など、保存可能性を症例ごとに評価する必要があります。
✅ 生存率だけでなく、費用と部位による違いも説明する
インプラントは全体として生存期間と機能期間が長い一方、平均累積費用は高くなりました。
また、下顎前歯部を除く部位ではインプラントの平均機能期間が長い結果でしたが、下顎前歯部では根管治療が生存期間・機能期間・費用のすべてで有利でした。
「どの部位でも同じ答え」ではない点は、患者さんと選択肢を共有するときに重要です。
✅ 最初の治療だけでなく、今後起こり得る再介入まで話し合う
根管治療後の歯にも、インプラントにも、将来の再治療やメインテナンスがあります。
この研究は機能していた期間と累積費用を比較しており、初回治療の成功率だけでは見えにくい長期的な負担を考える材料になります。
ただし、この研究はスウェーデンの診療登録を用いた後ろ向きコホート研究です。無作為に治療法を割り付けた試験ではありません。
傾向スコアで患者背景を近づけていますが、なぜその歯が根管治療または抜歯になったのか、歯の保存可能性や術者判断など、登録データで調整しきれない違いが残る可能性があります。
また、国の医療制度や費用体系が異なるため、金額を日本の診療へそのまま当てはめることはできません。
❓ 保存か抜歯で迷う歯では、どの所見を「保存を断念する境目」にしていますか?
❓ 生存率、費用、治療期間、再治療の可能性を、患者さんへどの順番で説明していますか?
「残存歯質を最優先している」「破折線の位置で判断を変える」「費用だけでなく通院回数まで説明する」「保存を試みたが再治療になった」など、実際の判断や経験をぜひ教えてください👇
【出典】
Journal:Journal of Dentistry
原著タイトル:Root Canal Treatment vs Implants: Survival and Costs in a National Cohort.
著者:Fernando J Mota de Almeida, Helena Fransson, Jan Derks, Thomas Kvist, Anna Trullenque-Eriksson
発表年:2026
DOI:10.1016/j.jdent.2026.107000
PMID:42641863
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42641863/