企業・一般法人
深いう蝕はどこまで除去?選択的除去後の18か月🦷
永久歯の深いう蝕では、歯髄を守りながら、修復物をきちんと封鎖できる状態をどう作るかが課題です。

【まず結論】
病変の深さと歯髄の状態を確認したうえで、選択的う蝕除去を治療の選択肢として検討します。この研究では、永久歯74歯を対象に、病変の深さに応じた方法を比較し、歯髄の感覚反応と修復物の状態を追跡しました。
【選択的う蝕除去とは?】
う蝕に侵された組織をすべて硬い象牙質まで一律に取り切るのではなく、部位や病変の深さを考慮して除去する方法です。深い部分では、露髄を避けて歯髄を守ることも目的になります。残せばよいというだけでなく、修復物の封鎖を確保できる状態まで含めて計画します。
【何を比べた研究?】
永久歯74歯を対象とした無作為化比較試験です。象牙質の中3分の1に達する中等度の病変では、選択的除去と、硬い象牙質までの非選択的除去を比較。内側3分の1に達する深い病変では、選択的除去と段階的除去を比較しました。深さによって比較相手が異なります。
段階的除去とは、一度にすべて除去せず、いったん封鎖し、再来院時に再開して処置する方法です。今回の抄録には、各段階の詳細な操作や使用した修復材料の内訳は記載されていません。
【18か月までの結果】
追跡された歯は6か月で62歯、12か月で50歯、18か月で39歯でした。6か月時点で歯髄感覚の失敗が3歯あり、内訳は非選択的除去側2歯、選択的除去側1歯。その後の12・18か月時点では新たな失敗は報告されませんでした。
評価された修復物には失敗が認められず、18か月までの群間差は統計学的に有意ではありませんでした。ただし、有意差がないことは同等性の証明ではありません。歯髄感覚の失敗数はグループ全体の実数で、18か月時点で74歯すべてを追跡できたという意味ではありません。
【どう判断に生かす?】
① 画像で病変の深さを確認し、症状・感覚検査などを合わせて歯髄の状態を評価する。
② 深部で露髄を避ける必要性と、修復の辺縁を封鎖できる条件をあわせて検討する。
③ 選択的除去と段階的除去を比較する際は、再介入の計画や通院も含めて患者さんに説明する。
④ 処置後も症状・歯髄の反応・修復物の辺縁や欠けを確認し、異常があれば再評価する。
これらは研究結果を踏まえた実務上の確認点であり、各確認操作や通院回数の効果をこの試験が個別に検証したものではありません。
【結果を読むときの注意】
18か月までに追跡数が74歯から39歯に減っています。追跡できなかった歯の経過を成功と扱うことはできません。抄録に各群の露髄数はなく、今回のデータから具体的な露髄率の差は示せません。特定の深さや硬さを全症例に適用する基準を決めるものでもありません。
【先生方はどう判断していますか?】
❓ 深部の除去を止める判断と、辺縁の封鎖を両立するために何を確認していますか?
❓ 深い病変で段階的除去を選ぶ際、再来院や経過観察についてどう説明していますか?

【出典】
Barros MMAF, Sales EMA, Vieira PHAGP, et al. Selective removal of dental caries in permanent teeth: an 18-month clinical trial. Clin Oral Investig. 2025;29(5):239. doi:10.1007/s00784-025-06320-6. PMID:40210753.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40210753/
本記事は公開抄録に基づく紹介です。画像はう蝕と歯の構造の概念図で、原著の症例画像ではありません。
