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SNSという広大な情報空間で、一人の歯科医師が鋭い光を放っている。
Xのフォロワー20,000人越え。
圧倒的な発信力と独自の視座から、臨床の核心に切り込む歯科医師
——翔先生だ。
X(旧Twitter)での発信は、単なる情報共有ではない。
そこは、旧来の教科書では得られないリアルな知見が飛び交い、
時に業界慣習が白日の下に晒される“非公式の教室”だ。
独占インタビューを通じ、本稿では
翔先生の活動哲学、現代歯科医療が抱える構造的な課題、
そして「医療者TERRACE」が切り拓く新しい学びの形
を探る。

「すごい混沌としてるんですよ。基本的な診断プロセスですら曖昧な回答が次々と出てくる。」
Xのタイムラインという高い利便性に隠された発信者が背負う覚悟とジレンマは、“玉石混交”の情報の質にあると言う。
翔先生は、特にう蝕(むし歯)学の議論についてこう言い切る。
それに対し彼は、強い覚悟を持って立ち向かっている。
「誤った情報は徹底して正していかなければならない。」
この強い姿勢は攻撃性ではない。
その根底には、後述する“一人の父親としての想い”がある。
翔先生がSNS上で最も問題視するのは、適切な診断プロセスを経ずに治療へ踏み込む風潮だ。
「きっかけは自分の子どもです。歯科医師である自分は“治し方”は分かるが、“守り方”を知らないと気づいた。」
翔先生の強烈な問題意識。その原点は、きわめて個人的な経験にある。
「当たり前を、当たり前だと思わない。」
その気づきは、父親としての愛情と、専門家としての無力感が交錯した瞬間だった。
彼は国内の学びに限界を感じ、スウェーデンへ渡る。
そこで目の当たりにしたのは、日本の常識とはまったく異なる世界標準のカリオロジーだった。
なぜ日本は、海外と比較して、カリオロジーがここまで確立していないのか?
これは個人批判ではなく、業界全体の構造に対する鋭い指摘だ。
「日本にはう蝕学会がない。カリオロジーを体系的に教えている講座もほとんどない。」
う蝕治療は毎日のように行われているにもかかわらず、基礎原理が体系化されていない。
この“歪み”を彼は見逃せなかった。
だからこそ、彼のビジョンは明快だ。
「すぐ削る人が多すぎる。診断プロセスに問題があるから、カリオロジーを当たり前にしたい。」
僕は特別な人間ではない。
一生懸命勉強や発信を続けるのは、患者のためであり、歯科のため。
彼の知識標準化への渇望は、自然と「正しい知識を共有できる場」そのものへの問いへと向かっていく。
もっと良く議論できる場所はないのか? そう考えるのは必然だった。

「僕だけじゃなくて、他の先生にも一緒に学べる。それが一番いい形ですよね。」
クローズドな歯科医師向けSNS「医療者TERRACE」について、翔先生は期待と同時に冷静な視点を持つ。
専門家だけが集う環境は、オープンSNSのノイズを排し、
質の高い議論を促す可能性を秘めている。
しかし同時に、コミュニティには必ず課題もある。
翔先生が指摘したのは主にこの2点だ。
①回答の質の担保
無料相談では一般歯科医師も回答できるため、Xと同様に混乱が生まれるリスクがある。
→情報の信頼性をどう守るかが鍵。
専門医を含めた専門家ドクターに聞けるシステムや国家資格確認の担保は効果的。
②ルールと活性化のジレンマ
厳しすぎても息苦しい。緩すぎても質が落ちる。
コミュニティ運営の永遠のテーマだ。
さらに、症例写真の投稿には必ず患者同意が必要であることも指摘し、
クローズドだからこそ高い倫理基準が求められると語った。
一方で翔先生は、プラットフォームへの参加に前向きな理由も持っている。
「実力的にはそんな大したことないですよ。SNSで有名になってきたタイプなので。」
これは謙遜ではなく、
自身の強みが“発信力”にあることを理解している証拠だ。
従来は、歯科界での評価基準は“臨床実績”や“学会での地位”が中心だった。
しかしSNSの普及は、「発信力」という新しい価値観を生み出した。
実力で知名度を得てSNSが後からついてくるタイプとは異なるモデル。
内容の独自性だけでなく、発言そのものに価値を置く姿勢は、
「SNSでの分かりやすい発信」という、新時代の発信方法を体現している。
これからの翔先生の活躍にも目が離せない。
最後に、彼は静かにこう語った。
「結局、患者さんを守るには、正しい知識を共有するしかないんですよ。必要なことを徹底してやるだけです。」
歯科医療がどこへ向かうのか。
その未来は、学会や大学だけでなく、翔先生のような現場から沸き上がる情熱にこそ託されている。

歯科医師:山田 翔
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医療者TERRACE 編集部
歯科医師・歯科衛生士チーム 小池このみ