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根管治療後の咬合面削合、強い痛みがある症例で必要?🦷

不可逆性歯髄炎と症候性根尖性歯周炎を伴う臼歯の根管治療後、咬合面を削合すると術後疼痛は軽くなるのでしょうか。


【結論】


今回のランダム化比較試験では、咬合面削合を行った群は、行わなかった群よりも初回治療後6・12・24時間の疼痛スコアが低い結果でした。


一方、48時間以降は群間差がなく、48時間時点では両群とも疼痛スコアの中央値が0まで低下しました。


したがって、この結果は「根管治療後は全例で咬合面を削合する」という根拠ではありません。強い術前痛があり、不可逆性歯髄炎と症候性根尖性歯周炎を伴う本研究のような症例で、初回治療後24時間までの短期疼痛を軽減する選択肢として考えるのが妥当です。


【咬合面削合とは?】


ここでいう咬合面削合は、根管治療を行った歯の咬合面を削合する処置です。術後に歯へ加わる咬合刺激を減らす目的で行われます。


ただし、PubMed抄録には削合量、削合する咬頭、術後の咬合接触の基準など、具体的な術式は記載されていません。この論文だけから削合量や手順を標準化することはできません。


【どんな研究?】


対象は、う蝕を伴う臼歯に不可逆性歯髄炎と症候性根尖性歯周炎があり、強い疼痛を訴えた18〜44歳の患者200人です。


参加者を無作為に次の2群へ割り付けました。


・咬合面削合を行う群


・咬合面をそのまま残す群


根管治療は、経験のある歯内療法医2人が標準的な手順で2回に分けて行いました。疼痛はVASで、初回治療後6・12・24・48・72時間と、2回目治療後6・24・48時間に記録されました。


最終的に180人が評価対象となりました。


【主要な結果】


治療前の疼痛スコア中央値は両群とも8で、群間差はありませんでした。


咬合面削合群の疼痛スコアは、初回治療後の次の時点で非削合群より有意に低い結果でした。


・6時間後:p=0.021


・12時間後:p=0.033


・24時間後:p=0.015


一方、48時間後から2回目治療後48時間まで、群間に有意差はありませんでした。


初回治療後48時間では、両群とも疼痛スコア中央値が0となり、その後も疼痛はごくわずかでした。


この研究が示したのは、咬合面削合による短期的な疼痛軽減です。48時間以降まで効果が持続した、あるいは治癒率や根管治療の成功率が向上したという結果ではありません。


【臨床ではどう考える?】


1.強い術前痛がある症例で検討する


対象は、不可逆性歯髄炎と症候性根尖性歯周炎を伴い、治療前VAS中央値が8だった患者です。無症状歯や軽度疼痛の症例へ、そのまま一般化しないことが重要です。


2.期待する効果を「初日までの疼痛軽減」と説明する


群間差が認められたのは初回治療後24時間までです。長期間の疼痛予防や根管治療の成功率向上を期待する処置として説明しないようにします。


3.削合による歯質喪失とのバランスを考える


咬合面削合は不可逆的な処置です。短期疼痛の軽減という利点だけでなく、残存歯質、修復計画、対合関係などを確認したうえで判断する必要があります。


4.術式の詳細をこの抄録だけで決めない


削合量や咬合接触の具体的な基準は抄録に記載されていません。研究結果を理由に、一律の削合量を設定することはできません。


【この研究の限界】


・対象は不可逆性歯髄炎と症候性根尖性歯周炎を伴う有痛性臼歯に限られる


・200人が無作為化された一方、評価対象は180人だった


・疼痛は患者自身が記録したVASによる主観評価


・群間差が認められたのは初回治療後24時間まで


・咬合面の削合量や具体的な術式は抄録に記載されていない


・長期的な歯の生存、根管治療の成功率、修復物への影響は評価されていない


【まとめ】


不可逆性歯髄炎と症候性根尖性歯周炎を伴い、強い術前痛がある臼歯では、根管治療時の咬合面削合によって初回治療後24時間までの疼痛が軽くなる可能性があります。


ただし、48時間以降は差がありませんでした。全例に行う処置ではなく、「この患者で初日の疼痛軽減を優先するか」と「削合による歯質喪失」を比較して判断することが重要です。


先生方は、どのような所見がある症例で咬合面削合を選択していますか?


【出典】


Yadav V, Ansari MI, Katyal S, Ahuja B, Miglani S. Effect of occlusal reduction on post-endodontic pain in teeth with irreversible pulpitis and symptomatic apical periodontitis: A randomized controlled trial. J Oral Biol Craniofac Res. 2026. doi:10.1016/j.jobcr.2026.101535. PMID:42761583.


PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42761583/




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