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3Dプリント個人トレー、印象前のサンドブラストは必要?🦷

3Dプリント個人トレーを粗面化したら、印象材の保持がむしろ低い結果に。Asiga製トレーの試験では、剥離に必要な荷重の平均が、未粗面化76.94 Nに対し、粗面化56.78 Nでした。

【今回の臨床判断】

「表面をざらつかせれば、必ず外れにくくなる」と考えて、サンドブラストを一律に追加しない。まず確認したいのは、トレー用レジン・トレー接着材・印象材の組合せと、それぞれの指定された処理・乾燥方法です。これは試験結果を踏まえた実務上の確認点で、患者さんで検証した手順ではありません。

【何を比べた研究?】

個人トレー材料とVPS(付加型シリコーン)印象材の保持を調べた、実験室での比較試験です。3Dプリント材料のAsiga DentaTRAY、Formlabs Custom Tray Resinを、従来型のUDMA(ウレタンジメタクリレート)系材料Megatrayと比較しました。

3Dプリント試料は、粗面化しない群と、アルミナ粒子でサンドブラストする群に分けています。どちらもKerrのVPS Tray Adhesiveを塗布し、メーカーの指示どおりに乾燥させた後、Aquasil Ultra+のVPS印象材を使用しました。

※「未粗面化」は「接着材なし」ではありません。口腔内で印象を採った試験でもありません。

【結果をどう読む?】

印象材をトレーから剥がす試験で測った荷重は、次のとおりでした。

・Asiga・未粗面化:76.94 ± 6.98 N

・Asiga・粗面化あり:56.78 ± 6.07 N

・従来型UDMAの対照:75.12 ± 6.77 N

未粗面化のAsiga群は、今回の試験群の中で最も大きい平均荷重を示し、UDMA対照群に近い値でした。粗面化したAsiga群は最も低い平均値でした。単位Nは、剥がすのに必要だった力を表します。接着面積で割ったMPaや、臨床での成功率を示す数値ではありません。

では、日常のトレー処理にどう生かせるでしょうか?

【明日から確認したい3点】

✅ 粗面化を「保持改善の万能な追加工程」にしない

この材料の組合せでは、サンドブラストを追加した群の平均荷重が高くなる結果ではありませんでした。「追加したほうが安心」という理由だけで工程を増やさず、使う材料に適した表面処理を確認する、という判断につながります。

✅ 「3Dプリントトレー」と一括りにしない

今回比較したのは、特定のレジンと、特定の接着材・印象材です。Asigaで得られた値を、別のトレーレジンや接着材へそのまま当てはめないことが大切です。

✅ 接着材の塗布と乾燥を省く根拠にはしない

未粗面化群にも接着材を使用しています。今回の結果から「3Dプリントなら接着材は不要」「乾燥を短縮してよい」とは言えません。塗布・乾燥を含むメーカーの指示を、組合せごとに確認します。

【なぜ粗面化で低い値になった?】

今回確認できた抄録には、その原因を調べた測定や、機序の説明は記載されていません。そのため、表面の汚れ・濡れ性・微小な損傷などを、この研究で証明された原因として付け加えません。確認できた学びは「粗面化すれば、必ず保持が上がるわけではない」という比較結果です。

【読むときの注意】

これは試験片での剥離試験です。印象の精度、患者さんでの脱離や再印象の頻度を検証したものではありません。抄録には各群の試料数、個々の比較のp値、Formlabs群の具体的な荷重は記載されていないため、数値の補完や「統計学的に有意」との断定はしていません。

【先生方のトレー処理は?】

❓ 3Dプリント個人トレーを使うとき、レジンと接着材の適合性を、どこで確認していますか?

❓ 印象材がトレーから外れた経験では、材料の組合せ、表面処理、接着材の乾燥のうち、何を見直しましたか?

「接着材を変えた」「指定の乾燥時間を確認した」など、実際の工夫もぜひ教えてください。

【出典】

Wilkins GN, McLaughlin SD, Handel SE, Sabol JV. Bond strength of vinyl polysiloxane tray adhesive to 3D-printed tray materials: A comparison study.

Journal of Prosthodontics. 2026年10月9日オンライン公開。

DOI: 10.1111/jopr.70254

PMID: 42855889

PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42855889/

本記事は公開抄録に基づく要約です。イラストはトレーと印象材の概念図であり、原著の試験片・実験写真ではありません。



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