"歯科医院の収入増に繋がる取り組み" ー 歯周病専門医・指導医の牧草一人先生【Dr's Interview#09】後編
ーーー実臨床では知識だけでなく、「頭・腕・心」を鍛える実践的な教育が必要だ。
『新人・復職DHのための丸わかり歯周治療』を監修し、インタビュー前編で歯周病治療を全国に広げる教育への想いを語った歯周病専門医・指導医の牧草一人先生。
後編では、歯科医院の経営強化、歯科業界の課題と解決策、今後のビジョンなどについてお聞かせていただいた。

牧草一人先生監修。2025年12月発刊の『新人・復職DHのための丸わかり歯周治療』(クインテッセンス出版)。
教科書的な書籍と実際の臨床との隙間を埋める、歯科衛生士向けの歯周治療ガイドブックだ。歯周病の基礎知識から臨床で役立つ応用まで、イラストを交えながら分かりやすく解説されている。
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|5.歯科医院の収入増に繋がる取り組み
ーーー昨今の開業は、資金的ハードルが極めて高いという。
牧草一人先生は、歯科業界の重要課題をどう考えているのだろうか。
クリニックの開業資金を持続的にペイしていける方法や施策について伺った。
牧草先生:
「歯科医師の収入を増やす方法として、まず挙げられるのが歯周病治療への取り組み強化です。日本では45歳以上の人の半数以上が有病者で、65歳以上の高齢者が人口全体の約30%ですから、歯周病の患者数は6千万人を超えています。」
「歯周病分野は、ものすごく巨大なマーケットです。
にもかかわらず、競合となる専門医は驚くほど少ないのです。」
「私は歯周病専門医を教える立場の指導医ですが、指導医のいる研修施設は近畿地方全体でわずか12~13か所ほど。クリニック経営を成功に導く有効策は、患者さんが多くて競合が少ない歯周病治療に注力することだと考えています。」
ーーー歯周病治療は、大学教育だけでは十分に学びきれないのだろうか。
ポストグラデュエートでの教育がなおさら重要だと言われるが、その意味で専門医制度のさらなる普及は、どのように期待されるのでしょうか。
牧草先生:
「大学教育だけでは、到底十分とはいえません。歯周病だけでなく、補綴なども含めた多種多様な分野で専門医制度が拡充されており、国も専門医制度の普及に取り組む方針を打ち出しています。」
「また、歯周病専門医になることは、歯科衛生士の雇用という課題解決にも役立ちます。歯科衛生士の離職率の高さ、就職率の低さに悩むクリニックが多いですが、歯周病専門医の資格を有していると、衛生士さんはそのクリニックで働きたいと思うのです。そういったメリット面にも目を向けてほしいと思います。」
ーーー専門的な歯周病ケアをするクリニックが増加すると、地域の患者さんの意識や知識レベルが上がり、クリニックを受診しようと考える人々が増えることになる。結果的に、競合の増加がクリニックの経営にプラスに働くというわけだ。
牧草先生:
「歯周病に熱心な歯科医師や衛生士が多いことで知られているのが、熊本県です。熊本県では歯科を受診する患者さんの数が非常に多く、経営的に潤っているクリニックも多くなっています。こうした成功例に注目し、学んでいくべきですね。」
|6. 次なる挑戦 ー 動画教材作りや遠隔支援
ーーー40年にわたる臨床経験を通じて、牧草先生はどういう想いで治療に取り組んでいるのでしょうか。
牧草先生:
「治療に対する基本的な考え方は、今も昔も変わっていないです。長く仕事をすればするほど、歯科医師の仕事の面白さや正しさがわかると同時に、治療の限界も分かってきます。」
「我々がどれだけ素晴らしい仕事をしても、神様には勝てません。元々の人間の構造が何より強いのです。長年の経験を経て、第一選択は予防だという確信が強まりました。ベストはあくまで"予防"であり、"正しい治療"はセカンドベストだと考えています。」
ーーー"治療より優先すべき、歯科臨床がある。" 臨床の本質を知るからこそ、言葉に重みを感じます。
患者本位の臨床を追求し、結果を出し続けてきた牧草一人先生ですが、今見据えている未来はなんでしょうか。
牧草先生:
「これから挑戦したいと思っているのは、治療中に"私が何を見ているのか"を伝える動画教材作りです。70歳で臨床医を引退し、それから先は人生のボーナスポイントだと思っています。」
「今、4Kカメラ付きの拡大鏡を1日中つけて、私の目線から治療の様子を撮影しているのですが、相当な数の動画がたまってきました。その動画素材をリアルな教材として提供することを検討中です。」
|7. 牧草先生が描く、これからの歯科業界と次世代へのメッセージ
ーーー医療者TERRACEに対して、牧草先生が期待している点を聞かせていただいた。
牧草先生:
「これまで手間や時間のかかっていた部分を、医療者TERRACEにサポートしてもらう関係性を作っていければ、医療者TERRACEの活動に我々が協力できることもたくさんあるでしょう。」
「歯科医師からの症例相談や患者さんへのカウンセリングなど、遠隔支援も進めていきたいと思っています。知識や経験が歯科医療者に役立つように、Webを活用したプランで、実際に現地へ移動しなくても支援できる体制を作りたいです。」
ーーー最後に、若い世代の歯科医師や歯科衛生士、歯科業界をめざしている学生へのメッセージを伺った。
牧草先生:
「学生時代は医療分野の勉強だけでなく、さまざまな人と接したり、全く別の業界でアルバイトしたりしながら、いろいろな経験をすることをおすすめします。歯科以外の幅広い分野の中からも、自分に向いていることを探してもらいたいですね。」
「成功者になる人は、自分がどんなことに興味があって、どんなことに向いているのかを早い時期に探し出すことのできた人だと思います。みなさん頑張ってください。」
※前編はこちら
▶︎"歯科医師が鍛えるべき3つの場所"とは ー 歯周病専門医・指導医の牧草一人先生【Dr's Interview#09 】前編
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牧草歯科病院 院長:牧草 一人
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医療者TERRACE 編集部
山崎 康弘
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