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成人1,272人を含む歯科治療の研究をまとめると、VR(仮想現実)を使った群では従来の対応より不安スコアが低い結果でした。ただし、研究ごとの違いが大きく、「どの患者さんにも同じ効果がある」とまでは言えません。

【重要な数字】
システマティックレビュー 無作為化比較試験12研究
メタ解析に含まれた研究 9研究
対象 成人1,272人
不安スコアの群間差 標準化平均差 −0.69(95%信頼区間 −1.16〜−0.22)
痛みスコアの群間差 平均差 −0.17(95%信頼区間 −0.33〜−0.01)
不安や痛みが気になる患者さんへの対応に、VRをどう位置づければよいのでしょうか。
【実際にはどんなVRを見せた?】
今回のメタ解析の抄録には、採用された12研究それぞれの映像・音声や視聴時間の一覧は記載されていません。そのため、結果を「自然風景のVRを見せた効果」など、特定の映像の効果として説明することはできません。
具体例として、成人の下顎智歯抜歯を対象にした個別の無作為化比較試験では、浜辺や庭園を模した空間のスクリーンに海・川・動きの少ない動物を映すVRと、コントローラーで的当てやボウリングをするゲーム型VRを使用しました。別の成人歯科診療の試験では、自然風景の映像に穏やかなクラシック音楽を合わせたVRを使用しています。これらは個別研究の内容であり、今回のメタ解析に含まれた全研究で同じVRを見せたことを意味しません。
【研究から分かること】
✅ 成人の歯科治療に関する無作為化比較試験を統合すると、VRを使った群では不安スコアと痛みスコアが低い結果でした。標準化平均差は割合ではないため、「不安が69%減った」という意味ではありません。
✅ 心拍数もVR群で低い結果でした。一方、血圧と酸素飽和度には統計学的に明確な差がありませんでした。
✅ この結果は、VRが患者さんの不安や痛みに対する補助的な選択肢になり得ることを示します。ただし、適した患者像や最適なVRの内容・使用時間まで、この抄録から決めることはできません。
【臨床ではどう考える?】
研究で確認されたのは、複数の試験をまとめたときの平均的な差です。VRを導入するかは、患者さんの希望、処置中の意思疎通、機器を安全に使えるかなどを個別に判断する必要があります。VRを説明や麻酔の代替として扱う結果ではありません。
【エビデンスの限界】
著者らは、研究間の異質性が高く、含まれた研究には方法上の限界があるため、根拠はまだ限定的としています。痛みスコアの平均差について、抄録には尺度の単位が記載されていません。効果を「何点改善」や「何%改善」と一般化しないことが大切です。
【先生方はどう使い分けていますか?】
❓ 処置中の不安が強い成人患者さんに、VRのような視聴覚的な気そらしを検討するのはどんな場面ですか?
❓ VRを使うとしたら、患者さんとの会話や安全確認をどのように両立させますか?
「こういう患者さんには受け入れられた」「処置中の確認が難しかった」など、実際の経験もぜひ教えてください。
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【出典】
Cao W, Liu J, Xu N, et al. The Effect of Virtual Reality on Anxiety and Pain in Adult Dental Treatment: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Stomatol Oral Maxillofac Surg. 2026 Sep 27. doi:10.1016/j.jormas.2026.103013. PMID:42801915.
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42801915/
VRの内容に関する補足出典:Yamashita Y, Aijima R, Danjo A. Clinical effects of different virtual reality presentation content on anxiety and pain: a randomized controlled trial. Sci Rep. 2023;13:20487. doi:10.1038/s41598-023-47764-8. https://www.nature.com/articles/s41598-023-47764-8
Ledwoń A, Dębski P, Jędrusik P, et al. An Attempt to Use Virtual Reality as a Tool to Reduce Patient Anxiety During Dental Treatment. J Clin Med. 2024;13:6832. doi:10.3390/jcm13226832. https://doi.org/10.3390/jcm13226832