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今回は、インプラント治療に興味がある方や、インプラント治療を検討中の患者様に向けて
有名インプラントメーカーや、治療のメリット・デメリット、注意すべきリスク、そして長持ちさせるためのメンテナンス
について解説します。
患者さんとして歯科医師にインプラントを依頼する場合、
インプラントって全然分からないから怖い、誰に頼めば安全で確実なの?
と考えますよね。
近年は、各メーカーの開発が進んでおり、違うメーカー同士でも形態がよく似たラインナップを出したり
ショートインプラントやガイドサージェリーによる「より安全な方法」が確立してきています。
では逆に、
歯科医師は何を基準にメーカーを選ぶのでしょうか?
・従事した先生が使っていたメーカーと同じだから?
・シェア率が高いから?
・勉強会で使用した製品がよかったから?
色々なパターンが考えられますが、どこのメーカーを選ぶかより、
患者さん目線で考えると「どの先生を選ぶか」の方が、よほど大切だと思います。
なぜなら、インプラントはメーカーの製品以前に、
外科処置としての技術や設計が何よりも大切だからです。
そして、臨床成績の悪いメーカーは社会から淘汰されていきます。
その意味で歴史のあるメーカーは安心と言えるでしょう。
ただし、歯科医師目線で言えば、新商品に飛びつくのも怖いです。
承認審査に通った新商品だからといって、「より有利なインテグレーションを得られる」わけではありませんし
メーカーを選ぶ基準として、営業がアフターケアや質問・評価に誠実に対応できるのかも、すごく重要です。
最高品質・より高額な製品を使って欲しいと望む患者さんの心理はもちろん大切ですが、
有名メーカーの製品は、安いメーカーと比較すると仕入れ値が高く、2倍近くコストがかかることもあります。
治療費の安い・高いも重要ですが、
信頼する先生が「この製品が良い」と考えて使用しているのであれば
その先生の実績と信頼をもとに、患者さんは先生の方針に賛同し付いていけると思います。
| インプラント治療とは?
歯を失った部分の顎骨に金属製の人工歯根(インプラント体)を埋め込み、人工歯(上部構造)を装着する方法です。従来のブリッジや入れ歯と異なり、周囲の健康な歯を削る必要がなく、天然歯に近い審美性と機能性を再現できます。
| 有名なインプラントメーカーとその特徴
世界には多数のインプラントメーカーが存在しますが、日本国内の歯科医院でよく使われている有名4大メーカーを紹介します。
スイスのストローマン社は、1974年に設立され、50年以上の歴史と実績を持っています。世界シェアNo.1のシェアを持つトップメーカーです。
・独自の表面性状「SLActive」により、骨との結合が早く、治癒期間が短い。
・インプラント体が比較的小さく、骨量が少ない場合でも適応が広い。
・5〜10年後のインプラント残存率が98.8%という高い信頼性。
これらの長年の実績と豊富な臨床データ、シンプルで精度の高いシステムが特徴で
特に骨と結合しやすい独自の表面処理技術が評価されています。
スウェーデンのイェテボリ大学で1965年にブローネマルク教授によって開発された、世界初のインプラントシステムです。
・40年以上にわたる臨床実績があり、古い製品に対してもパーツ供給を継続しているため、長期的なアフターサポートが安心。
・幅広い症例に対応できる多様なラインナップと、最先端のデジタルソリューションが魅力。
・「プラットフォームシフティング」技術で骨吸収を抑制。各社取り入れています。
米国を拠点とするデンツプライ・シロナは、インプラントだけでなく幅広い歯科製品を提供しています。インプラントシステムも多様です。
アメリカの大手メーカーで、骨との早期結合に強みを持つインプラントシステムを提供しています。
医科のインプラントと合わせると、世界No1シェアを有します。
その他
最近では韓国製品も広く台頭しています。
日本ではインプラント治療は保険適用外のみ適応となる治療ですが、韓国では一部保険適用となっていることもシェアを伸ばしている理由かと思われます。
インプラント治療を目的とした医療観光は、アフターケアまで考えると正直お勧めできませんが
国や生産拠点も、患者さんにとっては気になる部分かもしれません。
| インプラント治療のメリット
インプラントは顎の骨にしっかり固定されるため、違和感が少なく、天然歯と変わらない噛み心地や美しい見た目が得られます。
ブリッジ治療と異なり、周囲の健康な歯を削らずに治療ができる点も大きな利点です。
入れ歯やブリッジは顎骨が徐々に痩せてしまうことがありますが、インプラントは骨に直接力が加わるため、骨の吸収を防ぎやすいという特徴があります。
| インプラント治療のデメリット
インプラント治療は顎の骨に穴を開けて人工歯根を埋め込む外科的処置が必要です。治療期間も半年程度かかることがあります。
インプラント治療は基本的に自由診療となり、1本あたり30万円〜50万円程度と高額です。複数本必要な場合はさらに費用がかかります。
糖尿病や重度の骨粗しょう症、放射線治療歴がある方などはインプラント治療が適さないことがあります。事前の検査が重要です。
セルフケアや定期的なメンテナンスが不十分だと、インプラント周囲に細菌感染が起こり、インプラント周囲炎が発症することがあります。重症化するとインプラントの脱落リスクが高まります。
| インプラント治療のリスク
インプラント埋入時に神経や血管を損傷するリスクがあり、術前の精密検査と経験豊富な歯科医の選択が重要です。
骨との結合が不十分だったり、強い咬合力がかかった場合に脱落や破損が生じることもあります。
腫れや痛み、感染、長期的なインプラント周囲炎などのリスクも考慮が必要です。
| インプラントを長持ちさせるためのメンテナンス方法
インプラントも天然歯と同様、毎日のブラッシングが不可欠です。特にインプラント周囲は歯垢がたまりやすいため、歯間ブラシやデンタルフロスを活用しましょう。
3ヶ月〜半年ごとに歯科医院でのプロフェッショナルケア(PMTCやインプラント周囲の検査)を受けることが、インプラントを長持ちさせる秘訣です。大きなトラブルを回避するには問題の早期発見が重要です。
歯ぎしりや食いしばりが強い場合は、ナイトガード(マウスピース)の使用を検討しましょう。喫煙や糖尿病もインプラントのリスク因子となるため、生活習慣の見直しも大切です。
| インプラントに関するよくある質問

■ Q 医院毎で価格が変動するのは何故ですか?
□ A 「インプラント」は自由診療だからです。
皆さんが普段利用されている、保険制度の対象外となります。
上記のように使用するメーカーによる違いも、費用として差が出てきます。
■ Q 「インプラント」はいつまで持ちますか?
□ A 治療がどのくらい持つかは「個々の症例による」が一番正解だと思われます。
・10年予後のシステマティックレビューでは、10年生存率は95%前後
・20年追跡のメタアナリシスでは、78~92%の幅(retrospectiveでは88%、prospectiveでは92%)
があると報告されています。
総評としては、「インプラントは長く機能する」と言えるでしょう。
(参考)
Long-term (10-year) dental implant survival: A systematic review and sensitivity meta-analysis
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30904559/
How far can we go? A 20-year meta-analysis of dental implant survival rates
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39305362/
また、詰め物や被せ物がどのくらい持つか?
は以下の記事を参考にしてください。
LINK:【セラミックは何年もつのか?】歯科医師が本音で答える“寿命”と長持ちさせる方法
| まとめ
インプラント治療は、機能性・審美性ともに優れた現代歯科医療の代表的な治療法です。
歯を失ってお悩みの方は、まず信頼できる歯科医院(特定の先生)にご相談のうえ、ご自身に合った治療法を選択することをおすすめします。
インプラント治療を検討されている方は、歯科医院でカウンセリングを受け、治療計画、費用、アフターケアについて十分に説明を受けたうえで、ご自身に最適な治療を選択されることをお勧めします。
| この記事を書いた人
西田 充
歯科医師
(株)医心伝代表取締役・医療者TERRACE開発者
国立大学法人 東京科学大学(旧東京医科歯科大学) 卒業
大須観音南歯科 院長
東京医科歯科大学 臨床研修指導医
愛知県歯科医師会 調査室参与 他